ラピスラズリ・ボックス

某高達00腐女子のひとりごと用のおへや。

ちょっと思いついたこと


どうもまいど〜!月辺流琉でございます!

この度ブログを大幅に改修することと相成りました。これからは、、、

ラピスラズリ・ボックス 天上瑠璃小箱

と称しまして、主に『ガンダム00』の腐妄想を吐き出していくブログ兼小説置場にしていく予定ですので、よろしくお願いいたします♪

 

さてさて、冒頭の写真はだね、何のプラモだと思うね、君。(←誰

ヒントはコズミック・イラです。解った人は「あ〜〜!あれね!」となっておいてください。良い意味で期待を裏切るつもりですので……ふっふっふ(・∀・)ニヤニヤ

 

先日、Twitterで「刹グラ書いたら読んでくれるん?」とアンケートしたところ読みたい派というありがた〜いフォロワーさんが多かったワシ。そこでだな、妄想してたんだよ!!毎晩のように!!!ハム受けを!!!(風呂とか布団とかで)

それで考えてたのが、「(現パロで)ハムに先立たれたカタギリの為を思ったミーナちゃんがハムのアンドロイド(というかオートマタドール)をつくったものの却って怒らせてしまい、なんやかんやあってそのハムちゃんを刹っちゃんが引き取る」というね、もうなんか訳わからんそれです。言ってみれば倒錯CPだね。

ミーナちゃん天才科学者だから、生前の記憶を忠実再現した限りなく人間っぽいドールとか作れないかな〜とか思ってみたり。まだ構想段階なので支部に上げるほどではないかな〜と思い、取り敢えず冒頭をここに吐き出しておくことにする。

以下、本文なので注意。※いかにも続きそうなのに続かないよ!

☆ワンクッション☆

 

 隣室のカップルが騒がしいのはいつものことだ。主に女の方が。

彼女の立てる騒音には隣人としてもう慣れっこであったから、余程甲高い嬌声で無ければ__時折そういう夜もあるので、そんな日はきまって壁を思いきり殴ってやることにしている__もはやいちいち気にすることなどない。だが今日に限っては、何やら言い争うような激しい声が男女それぞれ一人分ずつ聞こえるのだ。痴話喧嘩か何か知らないが、受験勉強中の此方の身にもなってほしい。

 刹那ははあーっと大きな溜息を吐き出し、いよいよ我慢ならないと机を離れた。ずんずんと玄関へ進み、ドアを開け、隣室に歩み寄るとインターベルを間髪入れずに数度押す。

 「だから君は何も分かって……ああ、すいません。今出ます」

ドアホン越しに聞こえたのは、怒っているらしい男の科白と拗ねたように「でも」と抗議する女の涙声。本格的に揉めているらしい。このカップルにしては珍しいことだ。

 「はい……ああ、君、隣の。ごめんね、うるさくしたかな」

「ああ。こっちは受験を控えている。勉強に身が入らないので勘弁してほしい」

 ご近所への気遣いを知らない刹那の直球な非難に、隣室の男・カタギリは苦笑して頭を掻いた。

 「もっともだ。気をつけるよ……いや、彼女があんな無神経なことをするから、ついかっとなって……」

 またも説教じみた科白をぶつけられた女(確かミーナという名前だったはずだ)は、如何にも心外だと言いたげに「分かってないのはビリーの方よ!」と言い返す。

 互いに根が頑固な性格なのだろう。二人は刹那を前にしても一歩も引くことなく水掛け論を続け、ついにはカタギリの方が「ちょっと出てくる」と苛立ちを隠しもしない足取りで廊下端の階段を駆け下りていった。

 ご近所の騒音にクレームをつけるつもりが、隣人カップルの喧嘩に巻き込まれてしまった。どうしたものかと残された女を見ていると、彼女は目尻の涙を拭いながら刹那にこう問いかけた。「貴方も、私が悪いって思う?」

 「さあな。俺には解らない。そもそも何が原因で揉めたのかも知らずにジャッジメントは出来ない」

それもそうね、とミーナは目を伏せ、そして、暫く黙り込んで何かを考える素振りを見せた。刹那としては早く自室に戻りたいのだが、これでは別れる切っ掛けが掴めない。仕方なく彼女が顔を上げて次に何かを言うタイミングを待っていると、思いがけない科白とともにそれは訪れる。

 「じゃあ、貴方上がっていって。聞いてほしい話があるの」

 

 他人の部屋を訪れるのは好きではない。まして、センター試験間近のこの時期に、人様とべらべら喋っている暇など無いのだ。断固として辞退したかったのだが、押しの強いミーナに根負けし、「話とやらを聞いたらすぐ帰る」との条件付きで付き合ってやることにした。もし試験成績が振るわなかったら、あのカタギリという男に文句をつけてやればいい。

 「ダーリンの友達がね」

紅茶の入ったティーカップを二組載せたトレイを持って、彼女がリビングに入ってきた。刹那は差し出されたカップを受け取って、軽く口をつける。ほのかな苦味と強い香り、これはダージリンだろうか。

 「グラハムって人なんだけど……少し前に死んじゃったの。急なことだったわ。お葬儀もつい3ヶ月前で」

 飲み込んだばかりのダージリンティーの所為だけではない、痛烈な苦味が刹那の口内を一瞬で支配した。

 死んだ?あの男が?バターブロンドの髪を好き放題に跳ねさせて、いつもとびきりうるさい存在感でもって周囲を巻き込んでいた、あのグラハム・エーカーが……?

 驚きに言葉をなくしていると、彼女は意外そうに「知り合いだったの、貴方も? 」と目を瞠る。それも当たり前だろう。あのカタギリは30過ぎだろうが、刹那はまだ18の学生。グラハムとカタギリとは同じ年代であろうから、普通はどう考えても刹那との間に接点が見いだせない。

 だが事実、刹那にとっても彼は知り合いだったのだ。趣味仲間、とか同志、と言い換えても良いかもしれない。

 現役高校生プロモデラーとしてロボット模型の制作をしていた刹那のアカウントに、グラハムがファンコールを送ってきたのがそもそもの始まりだ。観ているアニメや好きなメカデザイナーなど趣味が似通っており、自然と仲良くなった二人は、どちらからともなく「会って話さないか」と提案した。

それからは何度か「オフ」という奴をやり、一度は一緒に映画を観に行ったこともある。相手は尊敬していたモデラーが学生と知って大層驚いていたが、彼も酒が呑めず、現在一人暮らしで彼女は居ないなど互いの生活リズムが上手く噛み合ったために、特に世代間ギャップに苦しむこともなく友情を育んでいった、と思う。

 だが受験生である3年に進級すると、流石の刹那も模型作りにばかり勤しんでいられなくなる。今年に入ってすぐにアカウントを無期限休止し、2月の本試験が終わったらモデラー活動を再開しようと考えていたのだ。だから、グラハムとのメッセージのやりとりも、そういえばもう半年以上交わしていないことになる。

 「そうだったのね。じゃあ、訃報が届くはずもないか」

ミーナは気の毒がってそう呟いた。が、すぐに何かを思いついてハッとなる。

 「ちょっと待って、じゃあ貴方たちはかれこれ2年ぐらい付き合いがあるのね!? 」

「あ、ああ。そうだが」

「じゃあ、これは貴方にとっても無関係な話じゃないってことね」

 彼女の発言の意図するところが掴めず、刹那はぱちぱちと目を瞬く。するとミーナは彼の手を引いて、「ちょっと来て」と奥の部屋へ案内した。ちなみに同じレイアウトの部屋に住む刹那は、このスペースをただの物置として使っている。

 ミーナとカタギリの部屋は全体的に物が少なく片付いているが、唯一奥の部屋だけは雑然と物が散らばり、更にはある種異様な雰囲気を放っていた。ドラマや映画でよく見る、所謂「研究室」の様相を呈していたのだ。

 足許に散らばる参考書や専門辞書の類と、埃まるけのPC類。そして、部屋の最奥には大仰なプラグが何本も繋がれた椅子状のドックがあり、そこに人が座っている。

 __いや、ありえない。

 刹那はその光景に軽い目眩すら覚え、傍らに立つ女を勢いよく振り返った。

 「嘘だったのか」

「何が? ……ああ、そういうこと。本当よ。グラハム・エーカーは死んだの。事故死、享年29歳」

「だがあれは、あの男は」刹那はドックに座す青年を指差す。彼は眠っているのか、その瞼は閉ざされていたが、肌はとても死んだ人間とは思えない色つやをしている。

 「あれは人じゃない。アンドロイドなの。それとも、オートマタドールっていう方がムードあって可愛い? 何にせよ私がビリーの為に開発した、簡単に言っちゃえば人型ロボットね」

「アンドロイド……あれが? 」

「疑うんなら近くで見たらどう? あ、別に触ってもいいわよ」

 ミーナの言葉に、刹那は思わずドックまで近づいていく。

恐る恐る手を伸ばして白い頬の辺りに触れると、確かに人が持つ体温のぬくもりは感じられなかった。だが、我々が想像するロボットのようにつるつるでメカメカしい手触りという訳でもなく、どちらかというと柔らかく弾力がある。

 「凄いでしょ!私が独自に合成した特殊樹脂。パッと見完全に人間だし、触り心地だってふにふにしてるのよ」

確かにこれは凄い、と刹那は息を呑んだ。こんな技術を扱える彼女は、日頃の言動からはとてもそうは見えないが、もしや凄い科学者なのかもしれない。

 「だが、こんなことをして……だから、怒られたのか」

刹那はようやく先程のカタギリの様子に合点がいった。死んだ友人を模したロボットを作るなんて、幾ら何でも不謹慎がすぎる。それも、なまじ相手のためを思ってやったことだけに一層たちが悪い。

 ミーナは「だって、ダーリンずっと元気がないんだもの」としゅんと萎れた。「私が元気にしてあげるって思ってたけど、やっぱり私だけじゃだめなの。表面的には平気そうにしてても……そういうのって、彼女だからちゃんと分かるの」

「それで、これを開発したのか」

 「そ。実は中のプログラムにも凝っててね? 生前の電話やメッセージの記録を学習させて、限りなく本人の意思に近い知能を持つようにカスタムしてあるの。最近のAI技術って凄いのよ!怒ったり悲しんだりもするし__さすがに涙は流さないけど__それに、冗談だって言えちゃう。殆ど人間と遜色ないんだから」

 ミーナはそこで一度言葉を切った。そして、心底残念そうに「でも、ダーリンは喜ばなかった。貴方が言う通り不謹慎だって思ったってことね」と項垂れる。

 「残念だけど、この子は処分するしかないかな」

 その科白に、刹那は少なからずショックを受けた。折角苦労して作ったものを、受け取ってもらえなかったからといってそうもあっさり棄ててしまうのか。しかも、これは人工知能がプログラムされている、言わば「生きた人形」なのに……。まだ生きることが出来るものを、ガムの包み紙のような簡単さで打ち捨てるなんて。

  

 「俺が引き取る」

 気づけばそう、口に出していた。自分でも驚いたが、こうなったら引っ込みはつかない。

 「えっ、もらってくれるの!? 構わないけど……貴方が起動するなら、その子の所有者(オーナー)は貴方よ。一旦そういう関係になったら、責任持たなきゃいけないんだからね」

「解っている。だがあんたがメンテ出来るんだろう」

 幸い、刹那とミーナは隣人だ。何か不都合があれば、いつでもこのオートマタドールを診てもらえる。それを聞いて、ミーナは「確かにいいアイデアね」と賛同した。

 「うん!なら、よろしくお願い。ダーリンには引き取り手の相談なんて出来ないし……ちょうどよかった。じゃあ、早速準備するわね」

  今からか、と問うと相手はスリープ状態じゃ運ぶの大変だから、と極めて現実的な返答を寄越した。だがそれも一理ある。幾ら隣の部屋とはいえ、歩けるなら、自分で動いてもらったほうが楽だ。

 ミーナはドックとプラグ接続されたPCを何やらカタカタと操作する。そしてシステムの不具合が無いことを確認すると、コードを一つずつ抜いていった。

 ドックは充電に使うから、と渡された黒椅子を刹那が持ち上げる。結構重いが、サイズはコンパクトなので置くところはまあ何とかなるだろう。

 「じゃあ、起動するね」「ああ」

 ミーナがグラハム……もとい、グラハムを模したドールの項を触る。首の後ろに操作盤か何かがあるようだ。

 数秒すると遠い機械音が聞こえ始め、それが一段落すると、彼はあまりに人間的な動作でゆっくりと瞼を開いた。立っていた位置の所為か、思いきり目が合ってしまう

 

 「ん……私はどれぐらい寝ていた? 随分身体が凝っているな……それはともかく!はじめましてだなあ、少年!」

 2年前と全く同じ声で、当たり前のように初対面の挨拶を紡ぐ。これが、たった今産まれたばかりの「グラハム・エーカー」の第一声だった。